研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
ホテルの部屋。
打ち上げまでのわずかな時間を、私はベッドの上でくつろいでいた。

発表が無事終わった。
鬼のような人がいなくて、あたたかい評価を貰えた。

緊張で、あっという間で、本番のことはよく覚えていない。

終わってみれば、ちゃんと上手くできたんだろうと思う。

コンコンとドアのノックの音がした。

私はドアに近づいてドアスコープから廊下を覗く。

理仁だ。

そっとドアを開けた。

「これ」とビニール袋を見せてきた。

「教授が一人一個ご褒美にケーキ買ってくれたから一緒に食べよ」

そう言って理仁が笑う。
理仁もすっかり寛いで、いつもの理仁に戻ってる。

私はドレッサーで、理仁はベッドに腰掛けてサイドテーブルでそれぞれのケーキを食べる。

ベリーのヨーグルトムースタルト。
口に入れた瞬間、爽やかな酸味が広がる。

「うまー」

幸せな美味しさ。

「うまいな」

理仁がしみじみと言う。

今日の理仁は、別格にかっこよかった。

「いつも通り」がちゃんと出来ていて、無理せず、いつもの理仁がステージ上にいた。

質問が集中した私のパートも、理仁が全部答えてくれた。

やっぱり、どうしても好きだと思ってしまう。
これは恋以外の何モノでもない。

ふと目が合う。

パンパンとベッドの上の、理仁の隣を軽く叩いてきた。

「おいでよ」

えっ。

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