身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
だから、冬真に伝えたくなってしまう。その人があなたのパパだよ、って。そうしたら冬真はどんな反応を見せるだろう。
そういえば、私は冬真に父親がいないことをまだしっかりと説明したことがない。冬真が聞いてこないのであえて触れずにいたけれど、冬真はどう思っているのだろう。
保育園の行事などに行くと両親揃って参加していることが多く、そういうとき冬真はいったいどんな気持ちになっているのだろう。自分だけ母親しかいないことを不思議に思ったりしないのだろうか。
「おじちゃん、愛菜ちゃん知ってる?」
洗い物を終えて食器を拭いているとリビングから冬真の声が聞こえた。
大好きなぬいぐるみとおもちゃを紹介して、いつの間にかすっかり打ち解けているらしい。そこはさすが血の繋がった親子というべきか、もしかして本能でなにかを感じているのかもしれない。
人見知りで内気な冬真にしては、柊一さんと打ち解けるまでの時間が他の人と比べるとだいぶ短かったように思う。
「愛菜ちゃん? 冬真君のお友達かな」
唐突に切り出された冬真の言葉に柊一さんが首をかしげる。そんな彼に冬真が答える。
「うん。保育園のお友達。僕、愛菜ちゃんのこと大好き。ケッコンするんだよ」
「へぇ、結婚かぁ」