身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
それからリビングに戻ると、コーヒーをいれて柊一さんに出す。
冬真と一緒にお風呂に入ったので今の私はすっぴんに寝巻き姿だ。でも、なぜかあまり恥ずかしいとは思わない。
付き合っているときに柊一さんにはもう見られているというのもあるし、冬真を産んで育児に追われているうちに自分の外見にはあまりこだわらなくなった。まぁ、それも女としてどうかとは思うけれど……。
「冬真は寝たのか?」
「はい。すぐに寝ちゃいました」
スーツの上着を脱いだ柊一さんはすっかり我が家でくつろいでいるようでソファにゆったりと腰を下ろしていた。その隣に座ろうとしたものの、やっぱりカーペットの上に腰を下ろす。
私と冬真がお風呂に入っている間、柊一さんにはリビングで待ってもらっていた。もうすっかり柊一さんに懐いた冬真の髪をドライヤーで乾かしてくれて、私が髪を乾かしている間はリビングで一緒に遊んでいてくれた。
「圭太から聞いてはいたが、たしかに冬真は俺の子供の頃に顔がそっくりだな」
そう言って、柊一さんが微笑む。