身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
広場にはキッチンカーが何台かきていて、冬真がソフトクリームを食べたいというので柊一さんが買ってきてくれることになった。
しばらくして戻ってくると、冬真にはバニラ味を、私にはストロベリー味のソフトクリームを手渡す。冬真がそれを嬉しそうに受け取った。
初めはひとりで食べていた冬真だったけれど、途中から私にもバニラ味を分けてくれたので、私も冬真にストロベリー味をあげて、いつの間にかふたりでバニラ味とストリベリー味を交互に食べさせあいっこしていた。
昼食の後もたっぷりと動物を見て回り、午後四時を過ぎると私たちは出口のゲートをくぐった。
駅まではバスに乗らないといけないので、その到着を待つ。
「ママー。疲れたよぉ」
冬真が目をこすりながら私の足にぴたりとくっついてきた。
そういえば、今日は冬真に抱っこを一度もせがまれなかった気がする。よっぽど楽しかったのか一日中、園内をずっと歩いていた。
でも、動物園から出た瞬間、突然力が抜けてしまったらしい。
今日は頑張って歩いたから帰りくらいは抱っこをしてあげよう。それにだいぶはしゃいでいたから眠いのだろう。
そう思って、抱っこをしてあげるために手を伸ばすと、冬真の視線が私から柊一さんに移動した。