身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
「これからは俺も一緒に冬真を育てていきたい。結婚しよう、美桜」
まっすぐに私の目を見つめる彼の瞳を私もまた見つめ返す。その瞬間、思い出したのは四年前の彼からのプロポーズだった。
あのとき、本当は柊一さんのプロポーズがとてもうれしかった。すぐにでもうなずいて、彼が私のために選んでくれた婚約指輪を受け取りたかった。でも、私にはそれがどうしてもできなかった……。
「柊一さんのご家族には反対されませんか」
私は、恐る恐る問い掛けた。今でも気になるのは彼が芹沢ホールディングスの御曹司だということ。私なんかとの結婚が許されるとは思えない。
「されないよ。つか、させない」
けれど、柊一さんは私の不安を一蹴した。
「四年前とは違うんだ。この前も話しただろ。セリザワブライダルの業績を上げたことで、芹沢ホールディングスや芹沢家での俺の立場は上がった。今はもうわりと自由にさせてもらっているし、意見も通せる。結婚相手についても俺が選んだ女性でいいと言われてる。だから、美桜はなにも心配しなくていい」
はっきりと強い口調で柊一さんはそう言い切った。
その言葉を聞いた私は、そっとうつむくと改めて自分の気持ちを考えてみる。