身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
「でも、これからは俺がそばにいるだろ」
私を抱き締める柊一さんの腕の力がいっそう強まった。
「これまでの時間は取り戻せないけど、これからは俺が美桜と冬真を必ず幸せにする。もう悲しませたりしないし、美桜も冬真も絶対に離さない。どんなことでも俺を頼っていいし、俺は美桜と冬真が笑顔で過ごせるならなんでもする」
「柊一さん……」
「美桜の夢のことも、お前が叶えたいって思うなら俺が全力で支える。だから、自分に素直になってほしい」
柊一さんは腕の力を緩めると、私の体をそっと離す。
「もう一度聞く。美桜、ドレスの仕事またやりたい?」
じっと私の目を見つめながら問われた言葉に、必死に隠そうとしていた本音がぽろっとこぼれる。
「やりたいです、私。またドレスの仕事」
それが私の子供の頃からの夢だった。もしもまたその夢を追いかけてもいいのなら、私はまたドレスの世界に飛び込みたい。
「でも、セリザワブライダルには戻りません。柊一さんの力は借りないで、私は自分の力で夢に近付けるために頑張りたいです」