愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
男性の裸を見るのは初めてじゃない。元彼とだって何度もエッチをした。それなのに、こんなにもドキドキするのはなぜなんだろう。

服を脱いだ日下さんが艶っぽい声で私を呼ぶ。

「芽生」

きゅんと高まる気持ちは日下さんを求めて手を伸ばす。肌と肌が密着し、お互いの心臓の音が聞こえるようだ。

「日下さん、私、緊張しています」

「俺もだよ」

唇を親指でなぞられてから貪るように唇を奪われた。

食べられてしまうのではないかというほどキスが深すぎて、唇が離れる度に、はあっと息が漏れる。

エッチが下手だと思われないように頑張らなくちゃなんてことを考える余裕はまったくない。全身が性感体にでもなってしまったんじゃないかと思うほど、いちいち反応してビクンと体が跳ねた。

「日下さ……あんっ!気持ち……いっ!」

「イっていいよ」

「やっ……んんっ!」

その後も私は日下さんにとろとろにとかされ、それでも必死に応えようとしていたのだが、体の奥から痺れる感覚に意識朦朧となり記憶があやふやになった。
< 16 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop