愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
「いつも日下さん飲み会来ないですよね?」

「皆でわいわいするのが苦手みたいよ」

「そうなんですかー?日下さんの酔った姿とか見てみたいよねー」

下田さんは同僚と顔を見合わせながら、「ねー」とキャピキャピした声を出す。可愛らしい下田さんは明らかに日下さんを意識しているように見えて、ざわっと胸が騒いだ。

「そうね、たまには日下くんも羽目を外すせばいいのにね。……あんなに笑えるようになったんだから」

「日下が来てくれないと俺がハーレム状態で困るなぁ」

ビール片手に席を移動してきた資材チームの丸山さんが、ニヤニヤと調子のいいことを言う。女性にちやほやされるのが大好きで、会話に入ったところを曽我さんにピシャリと咎められた。

「あら、丸山さんはそれがいいんじゃないの?チームが合併して女性が増えたことを喜んでいるの知ってるんだからね。セクハラしたら容赦しないわよ」

「マリエちゃんはいつも厳しいこと言うね~」

丸山さんは悪びれる様子もなくワハハと笑い、その場は大賑わいになった。
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