愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
日下さんの綺麗な顔を初めて正面に見た。
眩しすぎて直視できない。
かっこよくてずっと見ていたいのに、ドキドキと鼓動が早くなる。

~~あああっ!

「日下さん好きです!」

何を思ったか、テンパった私は思わず告白していた。

しーんと静まりかえるバー。
驚愕の目で私を見る日下さん。

あ。
やばい。
やらかした。

とたんに顔がのぼせてくる。

「……やだ、芽生ちゃんったら大胆!」

ママが口元を押さえながら目をぱちくりさせるので、慌てて私は手をパタパタと振りながら弁解する。

「ち、違うんですよ。日下さんってめちゃくちゃ仕事できる頼りになる人なんです。それにほら見てください、このサラサラとした艶やかな髪の毛!きりっとした眉毛!そして睫毛が長い綺麗なお顔立ち。背も高くてスタイルもよくて今日だってスーツめちゃくちゃ似合ってませんか?ここにいらっしゃるだけでマイナスイオン出てる感じで満たされません?」

身振り手振り大きく、まるでプレゼンのように日下さんを紹介する私に、ママは堰を切ったように笑い出す。
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