クールな完璧先輩は推し活女子を溺愛する
理事長はにべもなく、息子の批判をつっぱねた。
「お言葉ですが、僕は道真公の隠し財産などというおとぎ話は最初から信じていませんよ、お祖父さま。だいたい、都から太宰府に流された時点で妻子とは引き離され、財産も藤原氏に押さえられてしまったはずです。しかも太政官の命により『食、馬を給することなかれ』と太宰府の役人たちも食糧はおろか、逃亡用の馬は言うに及ばず道真公と口を利くことさえ許されなかったとか……。いくら道真公が聡明な方だったとはいえ、秘密裏に太宰府のこの地に、財宝を隠せたとは思えません」
響一郎は眼鏡の奥から鋭い視線を理事長に投げ掛けた。
「お言葉ですが、僕は道真公の隠し財産などというおとぎ話は最初から信じていませんよ、お祖父さま。だいたい、都から太宰府に流された時点で妻子とは引き離され、財産も藤原氏に押さえられてしまったはずです。しかも太政官の命により『食、馬を給することなかれ』と太宰府の役人たちも食糧はおろか、逃亡用の馬は言うに及ばず道真公と口を利くことさえ許されなかったとか……。いくら道真公が聡明な方だったとはいえ、秘密裏に太宰府のこの地に、財宝を隠せたとは思えません」
響一郎は眼鏡の奥から鋭い視線を理事長に投げ掛けた。