内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
 スヤスヤと寝息を立てる大和に笑みを漏らして、祐奈は襖をそっと閉める。
 窓際のソファに座り、外を眺めていた大雅が振り返った。
「大和、寝た?」
 祐奈はくすりと笑って頷いた。
「布団に寝かせたらすぐだった。こんなこと、はじめて。きっと大雅がたくさん遊んでくれたからね……ありがとう」
 そう言って祐奈も窓際に歩み寄る。
 大雅が頭をかいた。
「昼間に祐奈が言ってた、大和が寝たらホッとするって話、ちょっとだけわかったよ。……でも楽しかった。こちらこそありがとう」
 そう言って大雅は立ち上がり、代わりに祐奈をソファに座らせる。
「目を閉じて」
「……?」
 しばらくの沈黙、首に感じる冷たい感触に、驚いて目を開けると、昼間にジュエリーショップで見たあのガーネットのネックレスが、祐奈の胸元で輝いていた。
「大雅、これ……!」
「今夜の記念に」
 ソファの背もたれに手をついて、大雅がふわりと微笑んだ。
 祐奈は慌てて首を振る。
「だ、ダメよ。こんなに高い物……!」
 正確に値段を覚えているわけではないけれど、少なくとも祐奈にとっては手が届かない物だったはず。
 それをこんな風に、気軽にプレゼントするなんて。
「大雅、私にこんなに素敵なネックレス、もったいないわ。仕事中はつけられないし、普段も……きっとつけたら、すぐに大和にちぎられちゃう……」
「じゃあ、俺だけのためにつけてくれ」
 大雅が前に回り込み、ソファに座る祐奈の前に、膝を折ってひざまづいた。
「大雅……」
「仕事をする君、母親の君、それからアイスクリームをこっそり食べる君、どんな祐奈も心から愛してる。だから大和が寝た後のこのわずかな時間だけは、俺に君を独り占めさせてほしい。このネックレスは、その目印だ」
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