内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
 自分の中のなにかがガラガラと音を立てて、崩れてゆくような感じがした。
 今まで自分がしていたことはすべて間違いだったのだ。
 誰かを恨み、それを道しるべのようにして生きてきた。そうすることでしか、父の死を乗り越えることはできなかった。
 でもそれが祐奈と大雅、そして大和の未来を引き裂いたのだ。
「ごめんね……」
 そう言って泣く母に、祐奈は首を横に振る。
「お母さんのせいじゃないわ」
 本当に、母のせいではない。
「お父さんのことでお母さんが大変だったのは知ってるもの。私の方こそちゃんと話をしていれば……!」
 こんなことにはならなかった。
 あぁでも、と祐奈は思う。
 できなかった。
 嘆き悲しむ母をさらに苦しめるようなことは、とてもじゃないけれど言えなかった。
 今だからこそ、十年経った今だからこそ、こうやって話ができるのだ。
 でも、もう遅い。
 今更そんなことを知っても、もうどうにもならない。
 でも……!
 大和にアイスを食べさせる手が震えるのを止められない。
 心臓が痛いくらいにバクバクと鳴っている。
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