内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「信じられないくらいイケメンだったぁ」という無邪気な言葉まで聞こえてきて、田原が苦笑して頭をかいた。
「いや、申し訳ない。田舎者は礼儀がなってなくて。東京からあの天沢ホテルのお偉いさんが来られるということで、今日は朝から皆浮足だっとったんですわ。副社長さんが来られたことにも驚きでしたが、俳優さんみたいに男前でいらっしゃるから、黙っとれんかったのでしょう。後できつく注意しておきます」
「いえ、大丈夫ですよ」
 大雅が優雅に微笑んだ。
 その様子に、祐奈の胸はずきんと痛む。
 こんな彼は、祐奈の知らない彼だった。
 天沢ホテルの御曹司として、巨大な企業を率いていく責任を背負っている彼は、ちょっとやそっとのことでは動じない。
 エントランスでは、さすがに少し動揺しているように見えたけれど、それも本当に一瞬のことでその後すぐに冷静さを取り戻し、なんでもないように振る舞っている。
 かつての恋人大雅は、やはり天沢ホテルの御曹司天沢大雅だったということを今さらながら思い知らされたような気がして、祐奈は膝の上に置いた手を握りしめた。
「副社長、この後見ていただく現地ですが……」
 田原がさっそく地図を広げて説明に入る。
 それに少し身を乗り出して、真剣な眼差しで聞き入る大雅を祐奈は息をするのも忘れてジッと見つめる。
 長いまつ毛の綺麗な瞳、薄い形のいい唇、膝の上で組まれた大きな手は、少し痩せたようにも思えるけれど、二年前となにも変わっていなかった。
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