内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「今日はプライベートで来たんだ。この間は名所をたくさん案内してもらったけど、肝心の温泉には入っていないからね」
「そ、そうですね……じゃあ今日は……宿泊で?」
「うん。奥山旅館を予約してるんだ。それで案内所の前を通ったら秋月さんがいるからちょっと挨拶していこうと思ったんだ」
「そうですか。わざわざありがとうございます……」
 答えながら、祐奈は隣の真由香をチラリと見る。
 彼女からの視線が痛かった。
 背が高くてカッコいい、都会的な空気をまとう彼は明らかに宇月の人間ではない。
 その彼が初めから祐奈の名前を口にして案内所へ入ってきたのだ。いったいどういう関係なんだと思っているのだろう。
 祐奈は真由香に向けて彼を紹介した。
「あ、あの真由香ちゃん、こちら天沢ホテルの副社長、天沢さん。この間私が観光案内をさせていただいた……」
 彼女も観光課の人間なのだからまったく無関係ではない。
 大雅が彼女に向かって口を開いた。
「天沢です。プライベートで来たもので、名刺がなくて申し訳ない」
「あ! い、……いいえ! だ、大丈夫です! あ、案内員の北川です」
 真由香は目を見開いて、あわあわと自己紹介する。
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