内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
 なにもこんな遠いところまで祐奈に会いにこなくても……。
 祐奈は唇を噛み黙り込む。
 その祐奈の両肩を、大雅が大きな手で掴み優しく揺さぶった。
「俺は君の口から聞きたいんだ、祐奈」
「……私の口から?」
「そう」
 大雅が頷いた。
「俺にとっての真実は、君の口から出た言葉だけだ」
「そんな……!」
 そんなむちゃくちゃな、と祐奈は思う。
 彼にとって、祐奈との別れはともかくとして、大和の件については重大な問題だ。
 それなのに、その問題を祐奈の言葉だけで結論づけるなんて。
「祐奈、もう一度言う。俺はなにがあっても君の味方だ。絶対に悲しませない。……だから、真実を話してくれ」
 君を悲しませないという彼の言葉に、祐奈の心は揺さぶられる。
 信じたいという気持ちと、でもいくらなんでもそれは無理だという思いが頭の中で戦った。
 祐奈と大雅の間にある問題はそんな思いだけで越えられるものではない。
 祐奈はなにも答えられず、ただうつむく。
 すると突然、ふわりと彼の腕に包み込まれ、ギュッと力が込められた。
「俺を信じてくれ」
 耳元で囁かれる低い懐かしい声音が、祐奈の頭の中心を熱く甘く痺れさせる。目を閉じると、瞼の裏にアパートの窓からふたりで見た東京タワーが浮かんだ。
「……また来るよ」
 そっと身を離して、大雅が言う。
 少しぼんやりとしてしまっていた祐奈は、その言葉にハッとして首を振った。
「大雅……ダ、ダメ」
「人に見られたくないなら、毎週金曜日のお昼休みはここへ来て」
 勝手なことを言って大雅は立ち上がる。
 そしてキラキラと午後の日差しを反射させる大海原をバックに微笑んだ。
「君にアイスクリームを買ってあげるのは、昔も今も俺の役目だ」

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