【完】片手間にキスをしないで
「はぁ……?誰だあんたら。部外者だろ」
「残念ながら、そこのバカ息子と血が繋がっててね……。つまり部外者じゃないのよ、少年」
カツ、カツ、と規則的に響くヒールの音。同じリズムで刻まれる複数の足音は、絆奈の仲間たちのもので。
本当にこの人は族だったんだ、と知らされた。
───『おっ、夏杏耶ちゃん今日も来たのかぁ。そうだ。今日はうまくケーキ焼けたからさ、食べてってよ』
迷惑な顔ひとつせずに受け入れてくれた絆奈は、夏杏耶の前では常に母親で。
だから特攻服をまとう姿が美しいことを、知る由もなかった。
「奈央の母親……へぇ……気持ち悪。親に助け求めるとか、ドン引くんだけど」
「でしょう?うちの息子ってほんっとマザコンなのよー、ああ見えて」
……でもさ───そう続けた絆奈は、ミャオの胸倉をグンッとつかみ取り、額を鈍い音で打ち付ける。
「好きな子を守りたくて必死になれる、超絶かわいい息子なのよ」