身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
このところ凛音は絶えず不安定で気持ちの浮き沈みが激しく自分が自分ではないような感覚に振り回されている。

その原因は柊吾の見合いだ。

自分に止める権利も勇気もなく耐えるしかないと納得していてもストレスに違いなく、それが目眩や吐き気となって現れているのだろう。

「たしかにこのホテルの外観は本条遙人が設計したって感じだな。窓枠の細工も手が込んでるし、なによりここだけ紫って楽しいな」
 
掲げた写真集の向こう側から柊吾の声が聞こえる。

顔は見えないが、じっと写真を覗き込みホテルの細部を確認しているのがわかる。

凛音は楽しげに笑みを浮かべる柊吾が目に浮かび、泣き笑いの表情を浮かべた。

たとえふたりの間に壁を作られ柊吾のすべてを知らなくても、柊吾に笑顔を向けられ優しく声をかけられるだけで心は舞い上がり、柊吾への愛しさがいっそう募る。

セフレから愛人に変わってもいいと安易な結論を出してしまいそうになるほど、好きなのだ。

「紫は私もびっくりしました。あ、その窓枠のデザインは間近で見ると印象が変わるんです。そのデザイン、実はあね……」



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