僕の彼女はヤンデレです
「ええ、まぁ……」

慣れた手付きで運転しながら、話す中年男性。

愛嬌も良く、話しやすい。

打ち解ける頃には、現場に着いた。

今日の仕事は古びた壁の塗り直し。

足場を組んで、塗らない場所が汚れないようにビニール付きのテープを貼ってゆく。

「おー!兄ちゃん筋いいな!!」
「そ、そうですか?」
「一生懸命なのが、好感持てる!!」
「ありがとうございます!!」

ぶっちゃけ、今まで働いたら負けだと思っていた。

でも、ミチルを養っていく土台を作りたくて仕事をした訳だ。

正直言うと、仕事なんて楽しくないと思っていたが一生懸命な自分を褒められるのは心地良い。

ああ。

こういう所でも、誰かに認めて貰う喜びを知れるのか。悪くない。

一生懸命働いて、汗だくになる。

この感覚が気持ちが良い。

「頑張って働いてる兄ちゃんの為にジュース買ってきたから、少し休むか!!」
「あ、はい!」

影に移動して、ジュースの蓋を開けると一気に喉に流す。

今まで飲んだどんな飲み物より、美味い!!

昼になったら、近くに有るコンビニに入り好きな弁当と飲み物を購入した。

ぶっちゃけ今までの俺は、食事にほとんど興味が無かったが、この時は違った。
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