37℃のグラビティ
同じクラスでありながら、新海と一言も言葉を交わさないまま、季節が秋から冬に変わっても、アタシの心根が変わる事はなく……それは、気にしない様にすればするほど、気になるのと同じ。


それでも、ただ気にしていないフリをし続けて、でもそうやって強がる事で、アタシは自分を保っていられる気がしていた。


それはきっと「諦める」以外の選択肢が、アタシにはなかったからで……


アタシにとって新海の彼女は、邪魔な存在でも、憎い存在でもなく、しいて言葉にするなら、自然と新海を諦めさせてくれる貴重な(とりで)の様な……?


まさかその砦が、崩壊するなんて事は、思ってもみないアタシだった。
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