37℃のグラビティ
「何も言われてないし、されてもないけど、なんか痛い視線は向けられた。あんまり気にもしなかったけど」


『さすが、柚』


「ってゆーか、新海いったい倉田さんに何言ったの?」


『文化祭の後夜祭の時に告られて、それは断ったんだけど……翌日の代休、どうしても一緒に過ごしてほしいって言われて、過ごしたのはいいけど、なかなか帰してもらえなくてさ。挙句に学校で誰が一番タイプかなんて訊かれて、言うまで帰さないってしつこくてさ……』


「そこでつい、アタシの名前を出したわけだ?」


『そういうこと』


「あのさー……」


アタシの小言を察知して、らしくもなく新海が平謝りする。


『ホントごめん』


「この貸し高いよ?」


『オッケ』


別に深い意味なんかなく、アタシはあくまで冗談として、この話を終わらせようとした。
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