37℃のグラビティ
ねぇ、新海。


アタシたった今、わかった事がある。


アタシにとって新海はずっと「彼女の彼」だったんだって……


アタシはきっと、そんな新海に憧れて、そんな新海が想いを寄せる人にも、憧れてたんだ。


だからこの先、新海が誰を選んでも、アタシのそんな想いはきっと変わらない。


もしかしたら……勘のいい新海の事だから、そんなアタシに気付いていたのかもしれないね……?


『柚は今のまま、変わらずいてよ』


あれは新海なりの予防線で、だから新海の究極の我儘だったのかな……?


だとしたら、アタシ新海に、告白もしてないのに、とっくに振られてる!?


そんな事を思って、ひとり小さく吹き出した。


最後まで新海には訊けなかったし、これから訊く事もないけど……


もしアタシの気持ちに、本当に気付いていたのだとしたら、新海にこう言いたい。


気付かないフリをしてくれて、ありがとう……って――
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