37℃のグラビティ
風の噂で、新海は関東の先っぽ茨城県のJXA宇宙研究所? とかいうところに就職が決まったらしい。

とても競争率の激しい就職先だったにもかかわらず、海外留学在学中より、同研究所の英国支局でアルバイトをしていた姿勢が評価されたとかで……


仕事内容は宇宙から砂を運ぶ仕事? その砂を調べる仕事? とかなんとか……


アタシにはよくわからない仕事だけど、危険な仕事じゃなければいいなって思う。


そんな風に新海を想う今の気持ちは、微熱みたいだって思った。


どうにかしたいなんて、激しい熱はないけど、ふとした時に、気付けば考えてる新海のこと……


だから、きっと暫くは、この微熱と付き合って行くんだろうなって……そんな覚悟もしてる今日この頃。


仕事から帰ってご飯を済ませたアタシは、久しぶりにマンションの屋上へ行ってみる事にした。


今日は七夕。


アタシの22回目の誕生日。


アタシは鍵で扉を開けると、思いっきり伸びをしながら、屋上へと出た。


雨は降っていないけど、空は曇り空。


たとえ晴れていたとしても、明るすぎるこの都会(まち)に、星は見えない。


アタシは鉄の梯子を登り、縁に腰掛けると、星の見えない空を見上げた。
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