３７℃のグラビティ

子供たちと日々過ごす中で、出会いも何もあるわけもなく……


仕事から帰ってくればグッタリで、短大の友達から「飲みに行こう」と誘われても、なかなか行けずじまい。


仕事を始めてからというもの、保育園と家の往復ばかりの毎日。


短大の時に知り合った専門学校生の男の子と、半年くらい付き合った事はあったけど、お互い社会人になって環境が変わってから、あんまり会わなくなって、アタシから別れた。


なんとなくいいなって思って付き合いだしたけど……それ以上の気持ちには、なれなかった。


多分それは向こうも同じで、別れはお互い、随分あっさりしたものだった。


その彼と別れたあと……ううん、その前からずっと……


アタシの心の水面には、新海と過ごしたあの頃が、キラキラと輝いて映って……


時が経てば経つほど、その輝きは、増していくようにさえ思えた。


新海を想って涙する事はないし、会えない事を辛いとまで感じる事もない。


だけど……今「アナタの好きな人は誰ですか？」って、訊ねられたら……


アタシの心に真っ先に思い浮かぶのは、やっぱり新海彩人だ。