37℃のグラビティ
6月に入り、梅雨入りをした都会(まち)は、来る日も来る日も雨模様で、アタシの心に、憂鬱さが増す。


低く垂れ込めた暗い空や雨って、何でこんなに気分が滅入るんだろ……?


そういえば今朝、寛樹からLINEこなかったな……


学校がある朝に、寛樹からLINEが届かなかったのは、これが初めて。


だからって、取り乱すほど心配したり、気にしたりしてるわけじゃない。


きっと寝坊でもしたんだろうって、そんな風に思える。


離れて心配になるというより、アタシの中には、信頼が生まれていた。


遠く離れても、アタシを支えてくれてる寛樹の存在。


「愛に距離は関係ない」ってこと、身を持って実感してる。


そんな気持ちを知らない新海の事を、ほんのちょっぴり可哀想だと思った。
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