37℃のグラビティ
一歩……


そしてまた


一歩……


ゆっくり後ずさりする。


そして弾かれた様に踵を返すと、全速力で駆け出した。


寛樹に会って、直接話なんてしなくても。


梓にこのまま何も言われなくても。


そんなのもう、どうでもいい。


今、二人の前に出て行ったところで、自分が惨めになるだけだ。


これ以上、傷つきたくもない。


だから。


「どういうこと!?」なんて、二人を責めたりしない。


だけど。


「今までありがとう」なんて、綺麗事も言わない。


もう。


『さよなら』


ただ。


それだけ。
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