37℃のグラビティ
「ところでお前、彼氏とは会って話せた?」


一瞬。


それに頷こうとして……ゆっくり首を横に振った。


「彼氏に会うから」と言って、ついてきてもらった新海には、怒られるんだろうなぁ……と思ったら。


「そっか」


新海は意外にもサラリと相槌を打って、アタシのお皿に焼けたタン塩を乗せた。


「怒んないの?」


「怒るって? 俺が? なんで?」


鼻で笑って訊き返され、逆に戸惑う。


「『彼氏に会うからついてきて』って頼んだのに……」


「それはお前の目的だろ? 俺の目的は、目の前にある肉だから」


冷たい様で……


どこか優しい……


新海の言葉に、ざわつきを覚えたアタシの胸は……


着信したスマホを持って、席を離れた新海に救われた。
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