8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~
「酒を飲んで倒れたらしいが。そこに毒が含まれていたというのか?」
『さあな。俺は知らない。薬物や毒に詳しいのはフクロウの聖獣だ』
ドルフがあまりにもそっけなく言うので、オスニエルはムッとした。
「お前は心配じゃないのか。フィオナのことが」
『これで死ぬのならそれまでの人生だろう。またやり直させればいい話だ』
「やり直し?」
オスニエルは眉根を寄せ、ドルフを見る。紫の瞳が怪しく光る。聖獣など、あまり信じていなかったが、ふと対峙したときに感じる空気は得体のしれないものだ。
『俺は、時を操る力を持つ。これまでも、フィオナの人生を何度もやり直させてきた。あいつが望む人生に出会うまで』
「何を言ってるんだ? 何度も?」
あり得ない、と思う。だが、彼の纏う淡い光を見ていると、できるのかもしれないとも思えてしまう。
『俺はフィオナが死んでも困らない。またやり直させるだけだ。だから傍観する』
「俺は困る!」
オスニエルはいきり立った。ドルフはゆっくりと試すように彼に言った。
『であれば、お前が何とかするしかないだろう。フィオナを生かしたいのならばな』
「……っ」
オスニエルは、フィオナの額に唇を当て、「待っていろよ」と小さくつぶやいた。そして急いで部屋を出ていく。
使用人たちが働き始める時間帯で、早朝に王太子が側妃の部屋から出てきたことから、見ていませんとばかりに目を伏せて頭を下げる。
「昨日、給仕に出ていたものはいるか」
オスニエルは、その中のひとりを捕まえて、問いただす。
「遅番のものの翌日の出勤は午後からです」
「ちっ」
そこまで待っていられるものか。オスニエルは慌ただしく自室へ戻り、ロジャーを呼びに行くよう使いを出した。
『さあな。俺は知らない。薬物や毒に詳しいのはフクロウの聖獣だ』
ドルフがあまりにもそっけなく言うので、オスニエルはムッとした。
「お前は心配じゃないのか。フィオナのことが」
『これで死ぬのならそれまでの人生だろう。またやり直させればいい話だ』
「やり直し?」
オスニエルは眉根を寄せ、ドルフを見る。紫の瞳が怪しく光る。聖獣など、あまり信じていなかったが、ふと対峙したときに感じる空気は得体のしれないものだ。
『俺は、時を操る力を持つ。これまでも、フィオナの人生を何度もやり直させてきた。あいつが望む人生に出会うまで』
「何を言ってるんだ? 何度も?」
あり得ない、と思う。だが、彼の纏う淡い光を見ていると、できるのかもしれないとも思えてしまう。
『俺はフィオナが死んでも困らない。またやり直させるだけだ。だから傍観する』
「俺は困る!」
オスニエルはいきり立った。ドルフはゆっくりと試すように彼に言った。
『であれば、お前が何とかするしかないだろう。フィオナを生かしたいのならばな』
「……っ」
オスニエルは、フィオナの額に唇を当て、「待っていろよ」と小さくつぶやいた。そして急いで部屋を出ていく。
使用人たちが働き始める時間帯で、早朝に王太子が側妃の部屋から出てきたことから、見ていませんとばかりに目を伏せて頭を下げる。
「昨日、給仕に出ていたものはいるか」
オスニエルは、その中のひとりを捕まえて、問いただす。
「遅番のものの翌日の出勤は午後からです」
「ちっ」
そこまで待っていられるものか。オスニエルは慌ただしく自室へ戻り、ロジャーを呼びに行くよう使いを出した。