8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~
まだ夜が明けきらない朝方。カタン、という物音に、うとうとしていたオスニエルは、目を開けた。すぐに、腰の普段剣を差している位置に手を伸ばすが、今日は祝いの席だったため帯剣していなかったことを思い出す。
「……誰だ?」
フィオナはまだ熱があり、息が荒い。侍女も自室に下がったようで、姿は見えなかった。
フィオナを起こさないようにと物音を立てないように立ち上がり、寝室を出る。
そこに、ひとりの男がいた。兵士の姿をしていて、手にドルフが抱かれている。
「お前……誰だ? なぜドルフを連れている」
「オスニエル様……? なぜここに」
「聞いてるのは俺の方だ」
冷たい声に、男は体を震わせた。
「私は、城内警備のものです。フィオナ様の犬が迷子になっているのを見つけたので連れてきた次第です」
「こんな深夜に、ノックもせずにか?」
「起こしてはいけないかと思いまして。……フィオナ様のご様子はいかがですか?」
「まだ熱がある。お前はさっさと出ていけ」
「はい」
男はドルフをソファに下ろすと、素直に背中を向けた。ドルフが吠えないのだから、フィオナに危険を及ぼす男ではないのかもしれない……が。
「待て。お前、名前は?」
「……トラヴィス・ワイアットと申します」
聞き覚えがあるような気がしたが、すぐには思い出せなかった。
男はすぐに部屋から出ていき、オスニエルはドルフに視線を向ける。
「あいつ、何なんだ? おい、大きくなれよ」
オスニエルの命令口調に、ドルフは嫌そうな顔をしながら聖獣の姿を取り戻した。
『お前はいつも偉そうだな』
「偉そうじゃなくて偉いんだ、俺は。フィオナが突然倒れた原因、お前は知っているのか?」
それには答えず、ドルフはとことことフィオナのもとに向かう。そして、クンクンと匂いを嗅いだ。
『生命反応が少しおかしい。徐々に生気が削られて行っている……薬のにおいがするな。なにか盛られたんじゃないか』
「なに?」
『俺はその場にはいなかったからな。オスニエル、お前はいたのだろう? 誰が何かしたかみていないのか』
オスニエルはミルズ侯爵令嬢を思い出す。フィオナはカクテルを飲んで倒れたと言っていた。
「……誰だ?」
フィオナはまだ熱があり、息が荒い。侍女も自室に下がったようで、姿は見えなかった。
フィオナを起こさないようにと物音を立てないように立ち上がり、寝室を出る。
そこに、ひとりの男がいた。兵士の姿をしていて、手にドルフが抱かれている。
「お前……誰だ? なぜドルフを連れている」
「オスニエル様……? なぜここに」
「聞いてるのは俺の方だ」
冷たい声に、男は体を震わせた。
「私は、城内警備のものです。フィオナ様の犬が迷子になっているのを見つけたので連れてきた次第です」
「こんな深夜に、ノックもせずにか?」
「起こしてはいけないかと思いまして。……フィオナ様のご様子はいかがですか?」
「まだ熱がある。お前はさっさと出ていけ」
「はい」
男はドルフをソファに下ろすと、素直に背中を向けた。ドルフが吠えないのだから、フィオナに危険を及ぼす男ではないのかもしれない……が。
「待て。お前、名前は?」
「……トラヴィス・ワイアットと申します」
聞き覚えがあるような気がしたが、すぐには思い出せなかった。
男はすぐに部屋から出ていき、オスニエルはドルフに視線を向ける。
「あいつ、何なんだ? おい、大きくなれよ」
オスニエルの命令口調に、ドルフは嫌そうな顔をしながら聖獣の姿を取り戻した。
『お前はいつも偉そうだな』
「偉そうじゃなくて偉いんだ、俺は。フィオナが突然倒れた原因、お前は知っているのか?」
それには答えず、ドルフはとことことフィオナのもとに向かう。そして、クンクンと匂いを嗅いだ。
『生命反応が少しおかしい。徐々に生気が削られて行っている……薬のにおいがするな。なにか盛られたんじゃないか』
「なに?」
『俺はその場にはいなかったからな。オスニエル、お前はいたのだろう? 誰が何かしたかみていないのか』
オスニエルはミルズ侯爵令嬢を思い出す。フィオナはカクテルを飲んで倒れたと言っていた。