FUZZY






「そっか、そうだよね。それじゃあ早く帰って寝ないとだね」


くぅ〜ん、とわんこの耳が下がる。

……や、やめてくれ。あからさまにテンション下がってうるうるしないでくれ。

アラサー女子の〝かわいいを保護したい〟という気持ちに漬け込まないでくれ。




 
「……お、お酒」

「お酒?」

「お酒をね、飲まなかったら明日の仕事にも影響は出ないと思うし、」

「うん」

「近くのカフェとかでコーヒー一杯飲むくらいなら、大丈夫、かもです」

「……」

「どうかな?」

「……どうもこうも嬉しすぎてどうしようって感じです。ていうか、もう上がっていいか聞いてくる!」

「え、ちょ、あお、」


まさにドッグランで走り回っているわんこのように勢いよく走っていった碧生くん。


……って、いやいやいや、おい、私。

意思ぶれっぶれじゃんか。いい加減にしろ。アラサーまじでいい加減しろ。

……だってさ、しょうがないじゃん、かわいいんだもん。保護したくなっちゃったんだもん。

つくづくバカだと思う。

私、多分、電信柱のすぐ横でダンボールに入った捨て犬と目が合ったら迷わず連れて帰る気がする。


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