FUZZY




それからすぐに同期会メンバーはお店を出た。

何気なく携帯を開くと『あがれそうだから、あとじゅっぷんほど待ってて。いっしょにかえろう〜』と急いで文字をうったのか平仮名多めのラインがきていて自然と頬がゆるむ。




「二次会行く人この指とーまれ!」


弘実の人差し指が星いっぱい、紺色の空をさした。無駄に背が高いこの男の指に誰が届くというのだ。みんなつま先で立って手を伸ばしたりジャンプして腕ごとへし折ろうとしている。いい歳した大人がなにしてんだか。


「理乃は来るだろ?」

「いや、私はいいや。明日も仕事だし今日は早く帰って休む」

「えー、まじかよ。いつも参加してんのに」

「ごめんね。じゃあー…私、行くね」

「おー!気ぃつけて帰れよ」

「うん、ありがとう。弘実もほどほどにね」


みんなの背中を見送る。

この辺にバーがあるとかでそこに行くって言ってたな。つまりはそっち方面に行かなければみんなとばったり会うことはないというわけ。

なんだか悪いことをしている気分。

……悪いこと?ううん、知り合いとカフェに行くだけですから!別に悪いことじゃない!ブンブンと頭を振る。





数分後。


「理乃さん」


黒のオーバーサイズTシャツに長い足が際立つ黒スキニーを履いた碧生くんがお店から出てきた。……モデルさんですか?スタイルが良すぎる。すご。


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