FUZZY
話しながら歩いているのでいつの間にかホテル街に突入していた。平日だというのに賑やかなこと……。
ぼおっと眺めていたら「見過ぎ」って腕を引かれた。これじゃあまるで私がホテルに行きたいみたいだ。
碧生くんが住んでいるマンションは居酒屋から歩いて20分程度。私の勤めている会社とさほど遠くはなかった。でも知らない土地なのには変わりない。
部屋に入るなり後ろから抱きしめられる。
居酒屋で働いているからこその匂いと碧生くんの普段の匂いみたいなものが混ざり合って酔いそう。
「……私、汗、かいてる」
「それがいい」
「全然よくないよ。くさいもん」
「くさくない。でもあの人の煙草の匂いがするのは気に食わないな」
「あの人?」
「理乃さんの隣をずっとキープしてた体大きめの男の人。俺が何度も何度も邪魔したのに離れないし、まじでなんなの」
あ、弘実か。
体大きめって、うん、間違いではないね。
「弘実は私の幼なじみで同期なの。幼なじみが同じ会社の同期っておもしろいよね、びっくりしちゃったもん」
「……おもしろくないし」
弱々しい声、どうしたのさ。