FUZZY





ははって、苦笑いを浮かべて社内メールをチェックしていると「なあ、理乃」と名前を呼ばれる。目は画面なので耳だけ弘実の方に傾けていると、突然シャツを掴まれた。


「?!?」

「なんで昨日と同じシャツ着てんの?」

「え、着てない」

「着てんじゃん」

「……着てないってば!」

「ケチャップついてんだろーが!!」

「………………」

「………………」


し、しまった〜〜〜!!

ケチャップがついてるのをすっかり忘れていた。…そうだ、昨日こいつに付けられたんだった。致命的なミス。やらかした。これはさすがに…。あぁ、私のバカ。

一旦、落ち着け私。

すぅ、と息を吸ってゆっくり吐いてみる。


「ちょっとトイレ」

「あ、こら、待て!!おい!!」

「っ、着いてこないでよ」

「なんで昨日と同じシャツなわけ?家帰ってねーの?誰かんち泊まったとか?」


言えるわけない。

エッチして大学生の家から出勤しました!なんていくら幼なじみにも言えない。



「いや、えっと、」

「はっきり答えろ、理乃」


言い訳…言い訳…やばい、どうしよう、なんて答えたら——…




「あ、理乃と弘実じゃん。女子トイレの前でなにしてんのあんたたち」


ゆ、侑芽〜〜〜!!


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