私の好きな夜空、僕の好きな月

冬夜side

美月が俺たちの前からいなくなってもう2週間が経とうとしている。あのあと美月を追いかけたが、見つからなかった。家にも帰っていないらしく、

「しばらく帰りません。心配しないで。」

とだけ置き手紙が残されていたらしい。
俺たちはあのとき美月が言った言葉が全てウソだと気づいている。本当は俺たちのことが大好きで、自分の心を傷つけながら言葉を紡いでいたことを。

だって、ずっと一緒に過ごしてきたのに彼女の考えていることがわからないわけがない。それぐらい俺たちの絆は強い。
だが、その自覚があるからこそ苦しい。なんで朝様子がおかしいことに気づいていたのに、詳しく聞かなかったんだろうと。あんな軽い言葉で言い合うんではなく、もっと別の伝え方があったのではないかと、ずっと後悔している。すぐにあの子の手を握ればよかった。あの子が落ち着けるように優しい声をかけるべきだった。過去に戻れないのはわかっているが、あのときのことを悔やまずにはいられなかった。

あのね、美月。君はもしかすると俺達にさがしてもらいたくないかもしれない。
だけど、俺たちは全力で君を見つけるよ。君がどんなに嫌だと言っても探しだしてみせる。
ただの俺の自己満足かもしれないけれど、あのとき俺は君に誓ったじゃないか。

ずっとずっと、美月は俺が守るって、、、、、。
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