若女将の見初められ婚

最後まで心配そうな父と母に、笑顔で「いってきます」と言い、早めに家を出た。

着物を着る機会はそう多くはない。街中を歩くのも久しぶりだ。

行き交う人が一瞬着物に目を向けるので少し気恥ずかしいが、ゆっくりお店を覗きながら歩く。

バスと徒歩で来たが、気持ちを落ち着けるには、ちょうどよかった。


指定されたのは、祇園のフレンチレストラン。

料亭のような外装は、周囲のお店とうまく馴染むように設計されているのだろう。


ここは初めてくるお店やけど、すごく素敵。美味しいもの食べれてラッキー、くらいの気持ちで行こう。

私は呼吸を整えて、店に入った。

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