若女将の見初められ婚
*◇*◇*
早速挨拶に行こうと言う、しの君を連れて家に帰る。
心配して待っていた両親は、しの君の姿を見てアタフタしていた。
「お父さん、お母さん。私、仁さんと結婚することに決めたから」
笑顔で報告すると、母は驚いた表情でススッと寄ってきた。
「志乃…。そんな急いで決めんでも。よう考えてからにしたら?」
私の着物の袖を引き、耳許でささやく。
「大丈夫。しっかり考えて、結婚したいと思ったの」
私もこそこそと返事をした。
「志乃。ええんやな?店のことは考えずに決めたんやな?」
私の目を真っ直ぐに見て、父が問う。
「はい。自分のことを考えて決めたから大丈夫」
私も真剣に返した。
しばらくじっと見つめあった後、父は目をそらし、フッと息をはいた。
そして、しの君に向き直り背中をスッと伸ばす。
「仁君。志乃はおとなしそうに見えて、なかなか頑固な子や。迷惑もたくさんかけると思う。それでも、二人で仲よう頑張っていってほしい。どうか末長くよろしくお願いいたします」
父は深々と頭を下げた。
母も慌てて合わせるように頭を下げる。
「必ず幸せにします。こちらこそよろしくお願いいたします」
しの君も深く頭を下げてくれた。