若女将の見初められ婚

「志乃」

突然の呼び捨てに、ドキッとする。

「これからは志乃って呼ぶ。志乃も昔のように気楽に呼んで。話し方も同じく気軽に」

微笑みながら、ほらほらとせかしてくる。

急に言われたら、照れるけど…

「しの君。ほんとはずっと心の中でそう呼んでた」

エヘヘと笑った。

「そうそう。それや。そんな呼び方するんは志乃だけや。これからは、しのしのコンビでいこう」

しのしのコンビって。なんか弱そうと笑い合った。


母屋は昔ながらの木造二階建てだが、屋内はリフォーム済みでとても綺麗だった。

一階は、広いリビングダイニングと和室が一つ。二階は、洋室が3つあった。

「俺は一階だけで暮らしてる。
和室に布団敷いて寝てるけど、志乃は布団で大丈夫?」

そうか!一緒に寝るのか。
考えただけで、顔に熱がこもる。

「ダイジョウブ」

また片言やな、と笑われた。

二階は家族が増えた時に使おうと言われ、言葉の意味を理解して、また真っ赤になった。


水回りもとても綺麗。
キッチンがアイランド型になっていて感動する。流しの水栓は、手をかざすと水が出た。

でも、何よりも感動したのがトイレだった。

扉を開けたら電気がつく!

お店では見たことあるけど、こんなん普通の家でもあるんやなぁ。

前から思ってたけど、どのタイミングでつくの?
10センチ?20センチ?
いや、人の気配かな。

少しずつ開けたり閉めたり。
扉を少し開けて、腕を入れてみたりする。

クスクス笑う声がして、ハッと振り返った。

しまった!しの君がいたのに。

私は時々こんなことをしてしまう。
人に言わせたら「天然」ってことらしいけど。

「志乃はホンマに可愛いなぁ。一緒に暮らすのが楽しみや。はよお嫁に来て」

蕩けるように微笑まれて、完全に白旗を上げた。

しの君、カッコよすぎです…

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