LOVEPAIN⑥
「秋原さんは、凄い人です。
今日そんな辛い事があったのに、
仕事場では全然そんな姿を見せなくて。
今も、私があの写真に気付かなかったら、
秋原さんは普通に私に接していたから」
彼は、とても強い人なのかもしれない
私とは全然違う
「べつに、俺は今も平然としてるけど。
彼女には俺をフッた事をこの先後悔させてやろう、って。
もっといい曲書いて、
もっと売れてやろうって、そう思ってるから。
引きずって泣いてるなんて、
女々しいのは性に合わない」
そう笑った顔は強がっているわけじゃなくて
本当に、この人は強い人なのだと伝わって来る
ほんの少しでいいから、
この人のそんな部分が私にあればいいのに
「俺、広子ちゃんの声は本当に好きだと思った。
いい声だよ。
AVで聴いたけど、
喘いでる声じゃなくて話してる声が」
「そうですか……」
そんな風に言われたら、
話す事に緊張してしまう
声が、好き
「ちょっと、歌ってみて?」
「え?」
急に?
しかも、こんなトップミュージシャンの前で?