LOVEPAIN⑥


「え?成瀬さんに?」



「だけど、成瀬さんは電源は入ってるけど、
出なかったって……。

待っても、折り返しの電話もないし」




私は携帯電話の電源を切り、

成瀬は電話に出ないし、
かけ直しても来ない




もしかしたら……




ナツキは私が成瀬と何かあったんじゃないか、

って疑ったのだろうか?


だから、それを涼雅に話しているのだろうか?




涼雅が私に成瀬とそうなのか、と訊くと言う事は、

そう言う事なのだろう





「ナツキさんは鈴木広子の言ってる事を信じたいから、
ここ迄会いに来たんだってさ。

もし、鈴木広子が嘘付いてるならば、
それはそれで、嘘つかれたんだって、
笑って何事も無かったように忘れる、って」



「――そう」



ナツキの為に、

私はもっと嘘を突き通せば良かったのかもしれない



首のこの痕だって、

仕事で佐藤雲雀に付けられたものだし



それに、成瀬とは本当に何もないし




秋原慎太郎との事なんか、

もっと簡単に嘘で隠せたはずなのに


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