LOVEPAIN⑥
「広子。
回って前に来て」
「え?」
「抱き締めたいから」
「――うん」
私はナツキから一度身を離すと、
ソファーを回り込みナツキの前へと立つ
「そんな、突っ立てないでよ」
クスクスと笑い、
ナツキは私の両手を握る
夏、短く切ったナツキの髪は、
この4ヶ月で伸びた
前髪は眉毛に掛かり、
サイドも耳に掛かっている
髪の色は、今も黒いままだけど
あれから、ナツキとは長い時間を一緒に過ごしたのに、
今もその端正な顔に見惚れてしまう
ただ、慣れなのかなんなのか分からないけど、
ナツキに対してドキドキとする事は少なくなったような気はする
ナツキは強く私の手を引くので、
そのまま私は正面からナツキの膝の上に乗る