LOVEPAIN⑥
一つのシーンの撮影が終わり、
休憩を挟む。


休憩後は男優を変えて、先程と同じような撮影をする予定だとか。



休憩に入ると、ガウンを羽織り、別室で待機していた成瀬の元へと、行く。



「成瀬さん、もう帰って大丈夫ですよ?」


時は既に17時を過ぎていて、
撮影再開は18時。


どう考えても、今日の撮影が後一時間で終わるわけがない。



「まぁ、後もうちょっと撮影の流れ確認したら帰るわ。
もしあれなら、誰か別の奴をうちの事務所から…」


「それはいいです!」


「いや、俺まだみなまで話してないけど」


「あれでしょ?
成瀬さんの代わりに、誰か他の人を呼んで私のマネージャーをして貰うって事でしょ?」


「まあ、そうだが。
お前の事も、撮影終わり車でマンション迄連れて帰って貰おうかと」


「いえ。私は一人でも大丈夫なので、気にしないで下さい!
成瀬さんが居なくても、WDSのスタッフの人達と揉めたりしませんから!」


多分、成瀬が気にしているのはその事だと思う。


こうやって撮影の日は、成瀬やその時の監督が機嫌の悪い私を宥めるのが、
最近の当たり前になっている。


このメーカーに移ってからの私は、仕事中とてもピリピリとしている。


いつか、問題を起こしそうな程。


カメラの前では、勿論それを出さないけど。


カメラが止まれば、本当に顔に出てしまうくらいに怒りが抑えきれない。


「そっかぁ。
篤辺りにでも代わって貰おうと思っていたが、ま、いいか」


やはり、と思った。

成瀬が交代で呼ぶのは篤のような気がした。


それは、私の篤の好意に気付き以前のように嫉妬や嫌がらせとかではなく、
ただ単に、成瀬は篤に面倒事を頼みやすいから。


私としては、好意のある篤に、
仕事とは言えAVの撮影を見られたくない。



「コウジロウさんの事がお前の中でまだ割り切れないのも分かるけど、
頼むわ」


申し訳無さそうにそう言われ、
私は静かに頷いた。



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