俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「……美月っ」
私は気がつくと、朝陽くんの胸に顔を埋めるようにして抱きしめられていた。
「ごめんっ……怖かったよな」
朝陽くんの苦しげな声が、耳元を掠める。
「うん、こわ……かった」
「そうだよな。俺、美月を守るって、この前言ったばっかなのに……。さっき、お前のこと守れなくて本当にごめん……」
背中に回された腕が、更にギュッと力を増す。
「もしあの場に前島がいなかったら、今頃美月がどうなっていたか……もし万が一、頭を強打したり、どこか打ち所が悪かったらって。そう考えただけで……」
朝陽くんの表情は分からないが、声が震えている。
「俺は美月を好きだとずっと言っておきながら、好きな女1人守れないなんて……俺、美月を好きでいる資格……あんのかな」