俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


──数日前。


「朝陽くんのことが……好き、です」


昼休みに校舎裏に呼び出された俺は、成宮茜に告白された。


「ごめん。成宮の気持ちは嬉しいけど俺……他に好きな子がいるから」


もちろん俺は、その告白を断った。
俺は、美月一筋だし。


そもそも、過去に美月のことをいじめてた女は、恋愛対象外だしな。


「……好きな子?」


俺のその言葉に反応してか、俯いていた成宮が顔を上げた。


「朝陽くんの好きな子って、やっぱり……古賀 美月?」

「ああ。そうだけど?」

「そう……」


無表情でポツリとそれだけ呟くと、校舎裏から歩き出す成宮。


あれ? 案外あっさりと去っていくな。


俺の前で成宮は、いつも甘ったるい声で話していたはずなのに。

今日は告白するときから彼女の声が、いつもより低かったのが少しだけ気になった。


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