俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
俺は、拳をぎゅっと強く握りしめる。
どちらにしろ、これ以上美月に迷惑はかけられない。
俺が美月に関わることで、また成宮たち女子に何かされて、彼女が嫌な思いをするのは辛いし、それだけは避けたい。
今日だって美月が成宮に突き落とされたとき、頭がどうにかなってしまいそうだった。
近くにいたのに、すぐに助けられなかった自分が歯痒くて。
だから……本当は、こんなことしたくないけど。
ずっと変わらず美月のそばにいたいけど……。
俺は……美月から距離を置くことにする。
しばらくは関わらない。
苦渋の決断だ。
俺は美月が好きだからこそ、大事だからこそ……彼女から離れる。
俺は以前、美月を成宮たちから守ると約束したのに。指切りまでして。
それなのに、今日あんな目に遭わせてしまった。美月のことを自分で守れなかった。
だから、そんな俺は……前島に言われたように『身を引く』ほうがきっと良いんだ。
俺は自分に言い聞かせるように心の中で呟くと、空き教室をあとにした──。