ツキミチカフェにようこそ
一口掬うたびに口の中に幸せが広がる。舌で感じるプリンのとろけていく感触に、ソースの舌触り。ああ、杏だったら絶対大喜びしてこれ、食うんだろうに。
そこで思い出してしまった……今日の喧嘩。ボクが悪いのは分かりきってる。杏がボクの足を踏んで駆け去った後、慶太がボクに近づいてきて言ったんだ。
「杏ちゃん、ほんとに義行のことが大好きなんだな」って。
思わず慶太を睨んだ。何言ってんだよ。お前のせいで杏と喧嘩になって足踏まれたんだぞ。
まだジンジンとしびれが残る足を庇いながらボクは言い捨てた。
「杏は慶太といる方が楽しそうだけどな」
は? という顔をした慶太はすぐに吹き出した。なんだよ、こっちは腹が立って仕方がないのに。
「悪い。さっき杏ちゃんと話してたのはさ、お前のこと」
え……?
「杏ちゃんがさ、お前の小さい頃のこと聞きたいっていうから」
「慶太……、まさかアレ、喋ってないだろうな」
「ん? ダメだった?」
反射的に繰り出したパンチを慶太は右手で軽くいなすとケラケラと笑いながら言った。
「杏ちゃんに、お前が五歳の時におねしょしてわんわん泣いたことがあるって言ったらさ、その泣き顔想像できる、って幸せそうな笑顔で言ってたよ。お前、杏ちゃんの前で泣いたことあんの?」
「ね、ねえよ! 何言ってんだよ!」
思い出すのも恥ずかしい。初めて親なしでばあちゃんちに泊まった夏休み、夜中に尿意で目が覚めた。隣に寝ている慶太や他の従兄弟たちを起こそうにもぐっすりと眠っていて声をかけても揺すっても起きてはくれず、怖がりのボクは一人ではトイレに行けないまま眠ってしまい……起きたら布団に大洪水、だったんだ。
「義行も可愛いところあるんだよな、って言ったら可愛いところばっかりです、って惚気られたよ」
慶太の言葉にさらに顔が赤面し、そのまま大学を出て面接にきたのだ。結局、面接なしで採用になったけど。
そこで思い出してしまった……今日の喧嘩。ボクが悪いのは分かりきってる。杏がボクの足を踏んで駆け去った後、慶太がボクに近づいてきて言ったんだ。
「杏ちゃん、ほんとに義行のことが大好きなんだな」って。
思わず慶太を睨んだ。何言ってんだよ。お前のせいで杏と喧嘩になって足踏まれたんだぞ。
まだジンジンとしびれが残る足を庇いながらボクは言い捨てた。
「杏は慶太といる方が楽しそうだけどな」
は? という顔をした慶太はすぐに吹き出した。なんだよ、こっちは腹が立って仕方がないのに。
「悪い。さっき杏ちゃんと話してたのはさ、お前のこと」
え……?
「杏ちゃんがさ、お前の小さい頃のこと聞きたいっていうから」
「慶太……、まさかアレ、喋ってないだろうな」
「ん? ダメだった?」
反射的に繰り出したパンチを慶太は右手で軽くいなすとケラケラと笑いながら言った。
「杏ちゃんに、お前が五歳の時におねしょしてわんわん泣いたことがあるって言ったらさ、その泣き顔想像できる、って幸せそうな笑顔で言ってたよ。お前、杏ちゃんの前で泣いたことあんの?」
「ね、ねえよ! 何言ってんだよ!」
思い出すのも恥ずかしい。初めて親なしでばあちゃんちに泊まった夏休み、夜中に尿意で目が覚めた。隣に寝ている慶太や他の従兄弟たちを起こそうにもぐっすりと眠っていて声をかけても揺すっても起きてはくれず、怖がりのボクは一人ではトイレに行けないまま眠ってしまい……起きたら布団に大洪水、だったんだ。
「義行も可愛いところあるんだよな、って言ったら可愛いところばっかりです、って惚気られたよ」
慶太の言葉にさらに顔が赤面し、そのまま大学を出て面接にきたのだ。結局、面接なしで採用になったけど。