ツキミチカフェにようこそ
 生垣をくぐり、庭を横切る。オーナーの家、って言ってたけど相当、デカい。
 庭はテニスコート二面分くらいの広さがあり、芝生の緑が目に痛いほどだ。二階建ての家、ポーチ、窓から推し量る部屋数に、ボクは「金持ちの家」認定した。

「こっち」
 先を行く高田さんの後を追い、反対側の生垣からまた歩道へと出る。生垣には蔓草が密集していて、これは別の種類なんだろうけど小さな花をつけた植物も絡み合ってちょっとしたジャングル探検な気分だった。

「あれです」
 指さされた先には、これまたお洒落なカフェが建っていた。
 白い壁には蔦が這い、その深い緑が壁色に映える。こげ茶の窓枠にブラインド、大きな窓から透かして見える店内は、クラシカルな雰囲気で落ち着いて見える。
「入り口はこちらです」
 案内されたのは裏手だった。まぁそうか。スタッフになるわけだから。

 窓枠と同じこげ茶のドアを開け、高田さんはボクに二階を示した。
「二階にスタッフルームがあります。階段上って右のドアが更衣室。左はトイレです。ロッカーは四番を使ってください。制服が入っているので着替えて降りてきてくださいね。これ、鍵です」
「ありがとうございます」
「おっと、もうじき三時なんで急いで着替えてください。他のスタッフに紹介しますから」
< 6 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop