諦 念

▪▪バカが··十川side


神戸支店へついた。

支店長は、専務を見てから
ずっと恐縮しまくっている。

まぁ、仕方ないか····

挨拶を交わして
少しだけ話をする。

そこへ、« コンコン »と。

入ってきたのは、一瀬。

俺を見て、驚いた顔をしたが
支店の営業部長から
中に入り、座るように言われる。

上座に専務と支店長
専務の横に俺。
支店長の横に営業部長が
腰かけ、対面に一瀬が座った。

専務が、
「君の事は支店長からか報告を受けた。
三瀬さんに確認もしていない
事も含めて。

本来なら、個人的な事に
介入する事はないが
前回の本社での状態と
三瀬さんが仕事中に倒れた事もあり、
回りから色々な話が上がってきた。

本社側としても神戸支店に
優秀な人材を送ったと思っていたのに
それが間違いとあれば
神戸支店に大きな損失、痛手を
与えることになる為
私が見極める事とした。
無論、社長、副社長も私に一任している。

これで、個人の事に私が介入する
意味を理解したと思うが·····

それで、君は何を持って
三瀬さんと、この十川を疑ったのか
話して貰おう」
と、専務が言うと

一瀬は、同期で自分の婚約者?
でもあり本社受付勤務の
田中 真澄から教えられ、
その上、証拠の写真を
何枚も見せられた、と言った。

「その写真は?」
と、言う専務に

「全てを自分の携帯に移して
あります。」
と、言い、一瀬は立ち上がり
営業部長に自分の携帯を渡した。

部長から支店長、専務へと渡り
専務がみる。

全てを見ると
俺に渡してきた。

それは、俺と三瀬が
食事をしていたり
顔をつけて話をしたり
ホテルのネオンが後ろにある場所から
腕を組んで歩いている俺達の写真

後は、ショッピングモールを
二人で歩いているもの。

俺が運転する助手席に座る
三瀬の姿、等だ。

俺は、専務、支店長、営業部長に
頭を下げてから
「この写真を見て、疑問になるなら
なぜ、三瀬に訊ねなかった?
そんなお前が信じるか知らないが
食事の写真は、回りに他の奴らもいた。

顔を近づけているのは、
図面を見て頭をぶつけたんだ。
俺ではない三瀬が。

それに、ショッピングモールは
お前知らないのか?
三瀬が手掛けてる物で
その視察だ。

車の助手席も、その写真だが
後部座席に業者の方が乗っていた。

ホテルの奴は合成だ。
良く見ればわかるが
俺の足の向きがおかしいだろう?
お前は疑心暗鬼から
そんな事すらわからなくなっていたんだ。

俺と三瀬は、コンビを組んで
仕事をすることは多いが
人に疑われるようなことは
何一つとしてない。
それは、三瀬がお前以外目に入って
なかったからだ。

それをお前は、お前に行為のある
女に騙されて。
まあ、それだけお前が欲しかったの
だろうがな。」
と、言うと
一瀬は、再度写真を見て
俺が指摘した写真に気づいて
驚愕な顔をした。

そんな一瀬に専務が
「わかったようだが。
君の行動で三瀬さんのお父上が
かなりのご立腹で
妥協を辞さないと言われている。

許される事はないだろう
だが、自分の言葉できちんとした
謝罪を望まれている
それと娘への精神的慰謝料の請求をすると
言われている。

そして、写真の偽造の件は、
事と次第によっては警察にも届けるかもな。
娘さんを冒涜するものだから。

明日の午後1時に本社に来なさい。
君の嫁だか、婚約者だか知らないが
田中 真澄かな、その人も。
時間厳守だ、逃げることなど
許されない。」
と、言い。

それから、
この場から田中に電話をさせて
「本社に行かないと行けなくなった」
と、言わせ、
「明日の午後1時に
お前も本社に来るように。」
とも言わせた。

田中が、「なに?どうして?」
と、言う声が漏れていたが
「いいから。」と、一瀬が語気を
強めると田中はしたがった。

それから、携帯の調子が悪いから
繋がらないと思うと言わせ
二人が連絡を取らないように仕向けた。

携帯の写真だけを印刷し
電源をオフにさせてから
専務が預かった。

一瀬は、そのまま会議室から
出される事になったが
俺の顔を一度見て
何かをいいかけて止めた。
三瀬が倒れたと専務が言ったから
だろう。
「待て。三瀬は、やっと退院した。」
と、だけ伝えると
驚きながら、頭を下げ会議室を後にした。

一瀬が出ていくと
専務は支店長と営業部長に頭を下げた。

支店長は、びっくりされていたが
「個人的なことなど、
   解るわけありません。」
と、言われていた。

良い環境、良い上司なのに
バカな奴だ、と情けなかった。

俺と専務は、急ぎ東京に戻り
専務が三瀬の父親に報告し
一瀬の両親にも連絡をした。

一瀬の両親は、三瀬からの
荷物と手紙を読んでいたため
内容を把握する事が直ぐにでき
「明日自分も伺います。」
と、言われた為
専務が航空券の手配をして
サービスカウンターで解るようにした。

一瀬の父親は、断っていたが
専務の押しでおりた。
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