諦 念

▪▪過ちを知る


土曜日になり

会議室の机は、コの字に配列され
専務、神戸支店長の横に男性
その隣に十川が座っていた。

専務の横に栞那の父・実が座り
対面に光輝の父・憲が座る

専務達の前に椅子が二つあり、
そこに、一瀬と田中が並んで
座る。

田中の父親は、
この場には呼ばれていないが
通話が繋がっている。

それとプロジェクターが
用意されていた。

それぞれが腰かけると
専務から紹介があった。

神戸支店長の横の男性は
大林の顧問弁護士である
柳川さんだ。

光輝の父・憲は、
栞那の父である実に
深々と頭を下げた。

そこへ、« コンコン »と
十川がドアを開けると
一瀬と田中が入ってきた。

一瀬は、自分の父親がいて
驚いていたが、父はすかさず
光輝を殴りつけて光輝は大きく
後ろに飛んだ。
キャーッと、叫ぶ田中。
田中は、一瀬に近寄り口から出る
血にハンカチを当てた。

一瀬の父親は、肩で息をしながら
下を向いていた。
十川が、
「一瀬さん、腰かけてください。」
と、言うと
再度頭を下げて椅子に座った。
それを見て専務が
「一瀬も君も座りなさい。」
と、二人に言った。

そこへ、また、« コンコン »と。
十川が扉を開けると
顔色のまだ悪い栞那と明奈が入ってきた。

神戸支店長は、この女性だ。
と、思いながら
綺麗な子だと驚いていた。
一緒の子も引けをとらないが。

十川は、栞那に
「大丈夫か?」
と、訊ねると
栞那は、目に涙を溜めながら
頷いた。

栞那は、父親に守られるように
父親と明奈の間に座る。
明奈が栞那の手をずっと
繋いでいた。

それを見て専務が
「三瀬さんは、ご覧の通り
まだ、本調子ではありませんので
速やかに終わらせたいと思っています。」
と、皆を見ながら伝えた。

それから、再度
「本来なら、個人の事に
会社側が入ることなどありませんが
一瀬が異動の際に社内で
言い争いがありました。
たまたま、私が通り難なく終わりましたが
各部署から報告等が上がってきた
事もありましたし
神戸支店へ、本社としては
優秀な人材を異動させたつもりでしたが
そうでなければ、
神戸支店に多大な迷惑と損失を
負わせる事になりかねません。
そこで、事の終息をはかるために
私が介入する事となりました。

無論、社長、副社長は
私に一任しております。

終わり次第に報告を済ませます。
以上が、私、会社が介入する意味と
なります。
それでは、十川。」
と、言うと
十川が、プロジェクターを
操作をして
専務達が座る後ろにスクリーンが
現れて、そこに写し出される。

それは、田中真澄が写した写真で
真澄が息をのむ。

栞那と明奈も驚く
父・実は静観していた。

十川は、一枚ずつ写真の
説明をする

田中が言った言葉と
真実の二つを

最後の、さもホテル街から
出てきて腕を組んでいる
栞那と十川については

拡大されて·····
十川の足の向きがおかしい事が
判明した。

十川は、
「以上です。」
と、言うと
「ちがうっ、嘘よっ、光輝っ
この人達の、でっちあげよ。
光輝は、私を信じるよね?
赤ちゃんもいるんだし。」
と、一人騒ぐ田中。

すると、一瀬の父親の憲が
「三瀬さん、本当に申し訳ありません。」
と、頭を下げた。
光輝は、
「全ては俺がきちんと事実
確認をしなかったのがいけないのです。
別れを言われるのが
怖かったし真澄との事が
ばれるのも怖かった。
栞那に別れたいなら、飽きたなら
言って欲しいと言われたのに。
本当になんと言って謝罪をすれば
良いのか解りません。
本当に、本当に申し訳ありません。」
と、その場でどけ座をした。
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