諦 念

▪▪(栞那)父・実②side


明奈ちゃんを追いかけたが
タクシーは、去ってしまった。

あんな顔をさせたかったわけでは
······ない·····

だが、年の差はもとより
明奈ちゃんの御両親の気持ちを
思う

明奈ちゃんが作ってくれた
チョコを一人頂く。

初めてあった病院では
栞那の事でいっぱいだった····

綺麗な····娘····ぐらい····で······

だが、栞那を本当に大切に大事に
してくれて、栞那に寄り添う
明奈ちゃんに
感謝とは、違う気持ちが
あるのは確かだ。

だが、妻を亡くしてから
恋愛から遠ざかっていて
そんな感情を持てるとは思っても
いなかった。

明奈ちゃんにLINEで
《 チョコありがとう。美味しかった。 》
と、送ったが
既読にはなったが返信はなかった。

翌月のホワイトデーには
マカロンと花束を送った。

明奈ちゃんからは、
連絡は、なかったが
栞那から、
「明奈がお気を使わせてすみません。」
と、言っていたと電話があった。

栞那から明奈ちゃんについては
それ以上、なにも言われなかった。

傷つけてしまったのだろうと
わかったが、どうしてよいか
わからなかった。

そんな日々の中
栞那から
《 明日は、明奈の誕生日だから
出掛けてくるね。 》
と、LINEが来た。

クスッ、わが娘ながら·····

年の数の薔薇の花束を明奈ちゃんへ送る。
花言葉は
「あなたを愛しています。」
どうぞ、気づいて欲しい。

花束を明奈ちゃんの誕生日に
届くように送ったが·····

その日、なにもなく
改めて、彼女を傷つけたことを
思いしる。

病院が終わり
裏の自宅に戻る

自宅の前に人影が·····

近づくと····明奈···ちゃん······

足音に顔をあげる明奈ちゃんに
「いつからいたの?」
と、つい心配が先に立ち
怒るような形になり
「ごめん。つい心配で···」
と、言うと明奈ちゃんは
首を横にふる。
「中に入ろう。」
と、鍵を開けて横を開けると
下を向いたまま
俺の横を通る明奈ちゃんを

思わず抱き締めてしまう。
どんなに不安でいたのだろう····と。
明奈ちゃんは、腕の中で
じっとしていた···が。
「ごめん、上がって。」
と、明奈ちゃんの手を引き
上がるとリビングに連れていき
ソファーに座らせる。

珈琲を二人分入れて戻ると
「ご飯は?」
と、心配する明奈ちゃんに

「話してから。」
と、言うと頷く。
「改めて、お誕生日おめでとう。」
と、言うと
「ホワイトデーの時も
誕生日も、本当は嬉しかったの。
ありがとうございます。」
と、言ってくれたから
「良かった。」
と、言うと
ニッコリ笑ってくれた。
「気持ちもありがとう。
恋愛とかから、遠退いていたからか
臆病になっていたのと。
年の違いを思い
明奈ちゃんの御両親の気持ちを
つい、考えてしまってね。
でも、私も明奈ちゃんが好きだよ。
優しいところも、芯のあるところも
可愛いところも。
だけど、良く見て、考えてから
決めて欲しいから
俺と付き合って欲しい。
仕事も仕事だから
思うように出来ない
そんな俺で、本当に良いのかを」
と、言うと
マグカップを置いて
明奈ちゃんを抱き締める。

明奈ちゃんは、
腕を後に回してくれて
「好きなの。」
と、言ってくれたから
「うん。ありがとう。」
と、言って少しそのままでいてから
二人で夕飯を作り
二人で食べた。

マンションまで送ると言うのに
鎌倉の駅で大丈夫と
きかない。

じゃ、今度の日曜日は
出掛けようね
と、約束して駅へと送る。
一時間弱だが
その間、LINEのやり取りをする。

明奈ちゃんが
「マンションに着きました。」
と、連絡あってから
お互いに、お風呂に入った。

その後に
《 お休みなさい 》
の、LINEをした。
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