きっと100年先も残る恋
「先輩が今日飲まないかって。英子も一緒に」
「先輩って誰」
「モデルの、コータローさんって人」

聞いたことない。
多分同じブームストックのモデルさんだ。

そこに私が行っていいんだろうか。
コータローさんは気まずくないのかな。

軽く首を横に振る。
「いいじゃん、行こうよ」と小声で言ってきた。

雄介はスマホを耳に当てる。

「もしもし、何時からですか。あー別に俺は何時でも」

その後は「はいー、はいー」と言いっぱなしだ。

私と分かれて、そっちに向かうんだろう。
別にいいや。

私はカフェオレに口つける。

やっと「はいー、じゃー、また」という声で電話が切られた。

「どうすんの?」

顔色から何も伺えない雄介に問いかける。

「英子も行こうよ」
「いいよ、雄介だけ行きなよ。私、この後帰る」

ちょっと雄介が黙る。
口がとんがっていて、こんな雄介を見るのはちょっと初めてだ。

どうしよっかなー、というのが顔に出てる。

「私、コータローさん知らないし」

そう言う私を雄介はチラッと見てきた。

「すごくいい人だから、行こうよ」

私の目から視線を外そうとしない。

乗り気になれない。
私は人見知りだし。

「英子が嫌なら俺も行かないけど」

そう言う雄介もどことなく不機嫌。
なんで。

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