きっと100年先も残る恋
「英子は気にしないと思うけど、念のため」

そう言って雄介はスマホをしまう。

「すごい、注目されるようになってきたんだね」
「ごく一部だよ」

そう言いながら、少し遠くの床を眺めてる。

「俳優とかすればすごく認知されるようになると思うけど、モデルだけだとなかなか」

私も自分のスマホで検索かけてみる。

「高松雄介」と検索するのは、そんなに乗り気になれなかった。
カメラの前で格好つける雄介を見ると小っ恥ずかしくなるのと、こういう風にいろんな情報が出てきて惑わされそうだから。

画面の向こうの雄介と、ここにいる雄介は別物だと思っている。

検索結果は去年調べた時より確実に情報が増えていて、前までは「貴田美里の息子」としての情報だったのが「イケメンモデルは実は貴田美里の息子だった」というニュアンスのものに変わりつつある。

出身高校や今の大学の噂まで。
すごい、誰がどうやって調べてるんだろう。

そしてやはり「熱愛彼女は誰?」という記事も上位に上がってくる。

人気者になったんだなあと思いながら、ふと、これが私ってバレた時に何かあるのかと自分の身に起こる不安を感じる。

「ほんとだ、寺嶋愛菜出てきた」
「かわいそうだよね、向こうも被害者だよ」

雄介が笑う。

「匂わせってなってるけど、これ衣装だからね」

いろいろあるんだなあ。

鼻で笑う調子の雄介と目が合う。

「絶対ないからね」と雄介は私の頭を撫でて言う。

こんな、ちょっとモデルとして出てきただけでネット記事書かれるなら、これから先はどうなるんだろう。

私は、熱愛情報の真偽よりも、この平穏な生活が何か変わりそうな予感で不安にある。

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